本編

曼荼羅超常冒険記マンドラン 1の3Chapter007

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Chapter007

「ちっ!ここもないのかよー。つまんなーい」
東に向かった女がしらみつぶしに家を焼き払っていく。支配された緑陽の民と女の仲間が次々に村を襲う。抵抗しようとする緑陽の民は、見当たらない。見つかったとしてもすぐに女の支配下になっているようだ。
「はい、次ぃー、はい、次ぃ…」
集団はどんどんと増えていく。女は、緑陽の民を支配している。藍の曼荼羅を使って。

ガサ、ガサッガサッ
ヨーデルがわざとらしく音を立てて森からでてくる。
「父さ…長老。」
「ヨーデルか」
老人というには、幾分早い年齢であるが、この男がバリンチュースの最年少の長老、ダリンジェンだ。
「ランディは一緒ではないのか?」
自分の身の安全や集落の状況よりも先にランディのことを聞かれて不思議には思ったが、とりあえず状況を確認しようと思う。
「はい、ランディは羅装が使えないため、二手に分かれました。」
ダリンジェンの周囲の者が目配せを行い、そしてダリンジェンの耳元になにやら話しをしているようだ。ヨーデルは何事かわからないまでも、なにかが起こっていることだけはわかっている。
「なにが起きてるんでしょうか?!」
長老衆たちの異様な雰囲気にすこし疑問を持ちつつも冷静に話しを聞いてみる。ダリンジェンは、ゆっくりとした口調でヨーデルに話しかける。
「まだ推測の域から抜けてはおらんが、藍陰の民が村を襲っているようだ。村の衆も何人も支配されていっている」
藍陰の民という存在、村を襲撃しているという現実、そして仲間を支配しているという3つの意味のわからない現状を伝えてきた自分の父親に対して困惑しながらもあまり狼狽を見せないように質問をかえす。
「どういうことでしょう?なぜ村が攻められる必要があるのでしょう?」
ヨーデルは事実を淡々と話してくる父親に対して動揺を見せないように質問する。ダリンジェンは、顔で合図を行い、奥に進むように促す。
「歩きながら話す、ことは早急に進める必要がある、ヨーデル、お前にもやってもらうことがある。」
どんどんよくわからない方向に話が進みながらも、攻め込まれている村の反対のほこらに進んでいこうとする長老についていき詳細を確認しようとする。
「なにを、です?!村はどうするんですか?!」
状況からではまだあまり判断はできないが、現状に対する答えを得ていないのでさらに質問を繰り返す。ダリンジェンは淡々と質問に答える。
「まずは現状だが、藍陰の民が世界を支配しようとしているという話しは聞いたことはあるな?」
藍陰の民とは、藍のチャクラを使う民でその隠の特性をもつ一族である。変わった術を使うらしいとしか伝えられていないが、世界を支配するというような噂が飛び交っているのはここ数年である。
「噂レベルですが、村の人たちからすこしだけ聞いていました。ベルン大陸の方では結構な勢力になっているらしいですね」
ダリンジェンは首を縦に振りつつ、足早にほこらの奥に進んでいく
「その藍陰の民が、バリンチュースの緑陽玉を奪おうとしているのだ。そして、村がいま襲われている。これは偵察に出ていたシュバイツァーの連絡も受けているので間違いないだろう。」
突然の情報に対して、すこし思考を遮られつつもいくつかの状況を判断しながらヨーデルは確認する。
「シュバイツァーおじさんが?たしか会合に行っているはずなんじゃなかっ、、ありませんでしたか?」
「もういい、好きなように話せ。ルフェンからの連絡だから間違いないだろう」
すこし苛立ったような感じで、長老が話し出した。息子からの敬語にコミュニケーションの苛立ちを覚えたのだろう。続けざまに説明をしてくる。
「ルフェンの早馬が来たのは今朝だ、どうも確信的なものではなく、状況から推測しながらも情報をよこしてくれたようだ、『藍陰の民、各民のチャクラを集める、玉の存在を隠せ』という連絡だった。ルフェンは、ワードライドスワーの会合に出てるが、その会合が藍陰の民の状況を確認しあう場だった」
ヨーデルは、複雑な世界事情をこの時初めて知らされた。自分がいかに情報を遮断されていたのかの現実も。ルフェンは自分の羅装の師匠でもある。
「師匠、、ルフェンさんはいまどうしてるんだ?!なにか情報は?あとチャクラの玉って儀式用のただの玉っころのことだよな?」
自分の師匠のことも気にかかるが、藍陰の民が集めているといわれている玉のこともきになる。緑陽の民の儀式は、毎日行われている。村でとりわけ羅装が優秀な人間だけが集められて、毎日決められた時間に儀式を行う。儀式は円座になり、真ん中にチャクラの玉(緑色の小さな手のひらサイズの玉)を置いて、儀式用の曼荼羅を用いてマントラを唱える。ただそれだけの儀式であるがその場のエーテル体のエネルギー値は非常に高く、村の結界のような働きもすることから重要視されていた。ただ、それは毎日の日課のようなもので決して他の民族が欲しがるようなものではない、と伝えられている。結界に関してもたまに発生する怪物の村への侵略を防ぐためのものである。
「あの儀式は、緑陽のチャクラを集める儀式だ、毎日緑陽チャクラを与え続けることで玉は成長する。来たるべき時に活用すると長老衆にのみ伝えられているが、どちらかというと集落の結界を作るものであり村の秘宝に近い。それを守るのも長老衆の役目だ。」
次期長老と目されている自分の息子に対して、毅然とした言葉で説明する。ヨーデルはすべての言葉をひとつひとつ理解すると同時に、なぜこのようなことが起きているかも考えていた。
「そのチャクラの玉というのは、別の集落でも似たような儀式をやっているのか?」
ヨーデルの疑問は、藍陰の民の目的へと思考を移している。
「そうだ、緑陽の民の他の集落も当然だが、儀式の方法は異なるにせよ、それぞれの民が必ずチャクラを集めている秘宝を持っている。それは間違いない。」
ヨーデルの思考はさらに深化する。
「なるほど、ということは藍陰の民はそれぞれに守られているチャクラの秘宝を集めて何かをしようとしているんだね。なにをする気なんだ。」
答えが出そうにない思考を独り言のようにつぶやく、それに長老衆も考え込む。
「わからん、集めたところでなにかできるようであれば、以前にもそれぞれ集めたものもいる、とうぜん合法的に研究目的で集めたのだが、それぞれ力のバランスもあってか他のエーテル体とうまく融合させることもできないし、それぞれのエネルギーが反発しあう結果だったらしくて集めたところでまったく意味がない」
俺の知らないことばかりをこれでもかと伝えてくる父親を見ながら、長老にもいろいろと苦労がありそうだと感じる。それも当然か。
「とりあえず集落のものが殺されているわけではないようだ。村は破壊されていっているが、人の命さえ助かっているのであれば、まだ問題ない。」
ヨーデルは道中に3人ほど半殺しにしてもしかしたら?、と思ったがそれは伝えないでおこうと決心した。

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